歯ぎしり、食いしばりによる異常とトラブル
寝ている時に音をたてて、歯をこすりあわせるのを歯ぎしり、歯をこすらずに食いしばるのを食いしばりといいます。
初めのうちは、自覚症状もほとんどなく、しかも寝ている間のことなので、たいていの方は自分では気づきません。
ですが、歯ぎしりをしている歯は、私たちの想像よりもはるかに強い噛む力がかかっています。
寝ている間は、食事中のように、噛み方や噛む力をコントロールできないため、人によっては、起きているときの最大の噛む力以上の力で、歯ぎしりをしていることもあります。
そんなときの歯やアゴに加わる力は、なんと、その人の体重以上のこともあるそうです。
そんな強い力を放っておくと、力を受け続けた歯やアゴは、以下のようなトラブルが起こり得ます。
- 歯がすり減ってくる
- 知覚過敏、むし歯ができる
- 歯が欠ける、折れる
- つめものが割れる、とれる
- 歯がゆれる
- 口を大きく開けにくくなる
歯ぎしりは、他の病気の引き金になり得る、決して軽視できないお口の習慣です。
歯ぎしりの原因は?
ストレスがたまっていると歯ぎしりがでるとよく言われます。
しかし、実際に歯ぎしりとストレスの関係が認められるケースは1割程度だそうです。
また、噛みあわせが悪いと歯ぎしりが出やすいとも言われますが、寝ている時、歯ぎしりしている時以外、上下の歯を少し浮かして、2~3mmの隙間を空けています。
このすき間のことを安静空隙といいます。
通常は安静空隙があって、継続いて噛んでいる状態ではないので、歯ぎしりと噛みあわせに関しては、あまり関係がないと言われています。
歯ぎしりをおこす原因としては、さまざまなものが考えられており、特定疾患、ストレス、遺伝、飲酒、たばこなどが複雑に関係しておこる口腔習慣といわれています。
これらのファクターのうち、どれが歯ぎしりに最も影響を与えているかは、人によって異なります。
例えば、進学・就職・引越しなどのライフイベントのあとに、歯ぎしりをするようになった場合は、生活環境の変化によるストレスが、大きく関与していると考えられます。
本人以外に、家族にも歯ぎしりがみられる場合は、遺伝の要素が強いといえます。
遺伝子解析研究でも、特定の遺伝子を持った人が歯ぎしりをする可能性が高いということが言われているからです。
また、アルコールやタバコなど、嗜好品の過剰摂取も歯ぎしりを招くことがあり、睡眠時無呼吸症候群や逆流性食道炎との関係性も徐々に明らかになってきました。
原因として、いろいろなものが考えられますが、歯ぎしりには1つだけ共通して当てはまるポイントがあります。
それは、眠りが浅くなると起こるということです。
次回は歯ぎしり治療のポイントについて書きたいと思います。