歯周病菌が全身をかけめぐる!
“口腔内細菌が認知症に影響する?!”
“お口が清潔だと風邪を引きにくい?!”
こうした情報が、メディアでたくさん取り上げられるようになりました。とはいえ多くの一般の方にとっては、関連がよくわからないまま漠然と不安をあおられている、というのが現状てはないでしょうか?
そんな今こそ、歯科衛生士の出番!せっかく知識をお伝えする機会があるのだから、欠かさない手はありません。
とういうことで、今回はお口と全身の繋がりについてお話しします。歯だけではなく、全身の健康を守る歯科衛生士であるために、今一度そのつながりについて積極的にお伝えします。
お口と体のつながりとして、注目を集めているのが、”歯周病”です。脳や心臓、そのほか様々な部位の病気に歯周病の原因細菌が関わっているのではないかと言われています。
糖尿病
インスリンがじゅうぶんに働かず血液中の血糖が増えてしまう病気。放置しておくと血管が傷つき、将来的に心臓病や失明、腎不全になる可能性がある。
歯周病とのつながり
歯周病菌が出す炎症物質(サイトカイン)がインスリンの働きを妨げ、血糖値を上昇させると言われています。また、糖尿病患者が歯周病の治療を行ったところ、血糖コントロール値が改善したという報告も複数上がっており、糖尿病と歯周病は相互に関係していることがわかります。
メタボリックシンドローム
内臓脂肪の蓄積に加えて、「脂質異常」「高血糖」「高血圧」のどれか二つ以上に該当した状態。動脈硬化を促進させるリスクがある。
歯周病とのつながり
歯周病の人は病原菌が血流にのって心臓や全身に回るため、重篤な病気の原因になり、逆に^メタボリックシンドロームの促進を進めてしまうと分かっています。
早産・低体重児出産
出産予定日より大幅に早い段階であかちゃんが産まれてしまったり(妊娠22週以降37週未満の分娩)、2500g基準値以下の新生児出産。
歯周病とのつながり
歯周病が出す炎症物質(サイトカイン)に分娩を促す作用があります。
脳梗塞
脳の血管のプラークが 詰まったり、頸動脈や心臓から血の塊やプラークが飛んで来て脳血管が詰まる病気です。
歯周病とのつながり
歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になり易いと言われています。血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療は、より重要となります。
狭心症・心筋梗塞
動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがってしまい心筋に血液供給がなくなり死に至ることもある病気です。
歯周病とのつながり
血管内に発生するプラーク
動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、別の因子として歯周病原因菌などの細菌感染がクローズアップされてきました。
歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)が出来血液の通り道は細くなります。プラークが剥がれて血の塊が出来ると、その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まります。
動脈硬化
血管の壁が厚く硬くなり、血管が狭くなる病気。脳で起こると脳梗塞、心臓でおこると心筋梗塞につながる病気。
歯周病とのつながり
歯周病菌が出す内毒素や炎症性物質(サイトカイン)が血管に炎症を起こし、血管そのものを硬くしたり、血栓をつくるよう働いて動脈硬化を進行させると考えられています。
アルツハイマー型認知症
アミロイドβというたんぱく質が脳内に蓄積され、脳が萎縮する病気。
歯周病とのつながり
歯周病菌が出す炎症物質(サイトカイン)がアミロイドβを増加させると言われています。
この様に歯周病は様々な病気に関連があることがわかってきていますので、お口の中を清潔に保つことが病気の予防にも大切です。
歯周病の予防に定期検診をおすすめします!