歯科ブログ

子供の窒息って知ってますか? part 2

東京消防庁によると12歳以下の子供が何らかの事故で救急車で運ばれる数は年間で13,000人を越えるそうです。
その内、物を詰まらせる子が1,000人を超えるそうです。
多いですね。

また、消費者庁では、平成22年から平成26年までの5年間で子供(14歳以下)の窒息死事故は623件あったと報告されています。
その内、食品による窒息死事故は約17%(103件)あり、食品が子供の窒息死事故を引き起こす大きな原因の1つであることが分かりました。
食品による窒息死事故103件の内、87件が6歳以下の子供で発生しているそうです。
窒息死事故の原因となった食品には、菓子類・果実類・パン類などがあります。
食品による窒息事故防止には、まず『食品を小さく切り、食べやすい大きさにし、よく噛んで食べさせる』など子供への食品の与え方に注意が必要です。
また、『遊びながら、歩きながら、寝転んだまま食品を食べさせない』など、食事中に注意を払うことも必要と注意喚起してます。

子供が窒息を起こす原因は大きく2つ!

日本小児科学会では、窒息を起こす要因として、子供側の問題と食品の問題の2つをあげています。

子供側の問題 食べる力

子供側の問題としては、食べる(噛む、呑み込む)力と食事の時の行動です。
子供が生後、食べる力を身に付けていく過程として、まず離乳期があります。

  • 離乳期の初期:離乳食を呑み込むだけで、舌や歯ぐきで潰したりすることはまだ出来ません。
  • 離乳期の中期:舌と上あごで潰せる程度の硬さが食べられます。
  • 離乳食の後期:上あごと下あごの歯ぐきで潰せる程度の硬さが食べられます。
  • 離乳の完了期:前歯でかみ切り、奥歯で潰せる程度の硬さのものが食べられますが、まだ大人と同じものは難しいでしょう。

18ヶ月以降は、前歯が生え揃い、奥歯も増え、手づかみ食べを盛んにするようになります。
前歯での適量のかじり取りや奥歯での磨り潰しができるようになります。
3歳ころは、乳歯の歯列が完成し、食べ物を磨り潰すことができるようになります。
しかし、噛む力は大人と比べて弱いため、硬いものはうまく噛むことができません。
そのため、丸呑みしてしまい、窒息の可能性に繋がるわけです。

ここまでの時期に子供は食べる力を身に付けていきます。
しかし、噛む機能を身に付けられず、『丸呑みしてきたんじゃないか?』という子供に出会うことがあります。
食べる力を身に付けていない子供は、歯並びが悪くむし歯にもなりやすくなります。
丸呑みは窒息の危険もありますので、注意が必要です。

食品の問題

食品の形態や特性などで窒息を起こしやすいのは、大きく分けて3つあります。

  1. 丸くつるっとしているもの
  2. ⇒表面が滑らかなため、口の中で保持できず、ふとした際に飲み込んでしまい喉に詰まる

  3. 粘着性が高く、唾液を吸収して飲み込みづらいもの
  4. ⇒口の中にたくさん詰め込み、よく噛まずに飲み込むと大きな塊のままなため、窒息します

  5. 固くて噛み切りにくいもの
  6. ⇒十分に小さくならないまま喉に送り込まれ、窒息します

具体的な食品例

下線のある食品は頻度が高いため、4歳以下の子供が食べるときは注意が必要です。

丸くつるっとしているもの(弾力あり)
  1. プチトマト
  2. ブドウ
  3. さくらんぼ
  4. うずらの卵
  5. 球形のチーズ
  6. カップゼリー
  7. ソーセージ
  8. こんにゃく

予防、注意点

  • 1/4カットにして小さくする
  • カップゼリーは上向きに吸い込むため誤って気道に食べ物などが入りやすい
    また、凍らせたり、こんにゃく入りゼリーになると、更に窒息の危険がある
  • ソーセージは縦半分に切る
  • こんにゃくは使用しない
  • 1cmに切った糸こんにゃくを使用
丸くつるっとしているもの(粘着性が高い)
  1. 白玉団子

予防、注意点

  • つるっとしていて、噛む前に誤嚥するので注意
丸くつるっとしているもの(固い)
  1. あめ
  2. ピーナッツなどの豆類
  3. ラムネ

予防、注意点

  • 4歳以上になってから
粘着性が高く、唾液を吸収して飲み込みづらいもの
  1. ごはん
  2. パン
  3. 焼き芋
  4. カステラ
  5. せんべい

予防、注意点

  • 水分を摂ってのどを潤してから食べる
  • 一口量を守って詰め込まない
  • 良く噛む
固く噛み切りにくいもの
  1. エビ
  2. 貝類
  3. リンゴ
  4. イカ
  5. 肉類
  6. 生のにんじん
  7. 棒状のセロリ
  8. 水菜

予防、注意点

  • エビ、貝類は2歳以上になってから
  • 小さくする
  • 水菜は1~1.5cmに切る
  • イカは小さく切って加熱すると更に固くなるので注意
弾力があり噛み切りにくいもの
  1. きのこ類(えのき、しめじ、まいたけ、エリンギなど)
  2. グミ

予防、注意点

  • きのこ類は1cm程度に切る
  • グミは4歳以上で口に入れるのは1個ずつにする
唾液を吸収して飲み込みづらいもの(噛みちぎりにくい)
  1. のり

予防、注意点

  • 刻みのりをかける前にもみほぐしておく
唾液を吸収して飲み込みづらいもの
  1. 鶏ひき肉のそぼろ煮
  2. ゆで卵
  3. 煮魚

予防、注意点

  • 豚肉との合いびき肉で使用する
    または片栗粉でとろみをつける
  • 細かくして、何かと混ぜる
  • 味を染み込ませ、やわらかくしっかり煮込む

以上見てみると、普段子供に与えている食品で危険なものがたくさんあることにびっくりしました。
食品側の問題も、子供の『食べる力』が身に付いているかどうかが大切です。
子供の食べる力を身に付けさせつつ、子供の食べる力に合わせた食品を選ぶようにしたいものです。

かわせ歯科では、子供の口腔機能発育についてチェックし、トレーニングしております。
お気軽にご相談してください。

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