脳卒中について vol.1
2016年7月24日(日)
日本大学歯学部で、植田耕一郎先生のセミナを受けてきました。
内容は摂食嚥下リハビリテーションについてです。
講義の中で、話をされた脳卒中について、触れていたいと思います。
食嚥下のステージには、下記5つのステージがあります。
- 先行期
- 咀嚼期
- 口腔期
- 咽頭期
- 食道期
脳卒中にかかった患者さんのうち、咀嚼期、口腔期の障害をもった患者さんの割合は約3割との事でした。
主な訴えをあげると、下記のような訴えをされるそうです。
- 片側のみで噛んでいる
- 口から食事や唾液をこぼす
- 食事を丸飲みしている
- 味噌汁や水によくむせる
- 麻痺例の口腔前庭に食物がたまる
- 麻痺側の頬をよく噛んでしまう
- 顔がしびれて食べ物の味がしない
- 口が乾いて 飲み込みにくい
つまりたいていの患者さん達は口から食べているのであり、多くの場合、咀嚼期、口腔期に問題があるということ。
食べてるけど、ちゃんと食べれていない人の方が多いということでした。
維持期の患者さんたちには、おいしく楽しくしてもらいたいですね。
次に脳卒中の評価と対応について話がありました。
脳卒中には4つの麻痺があります。
- 片麻痺
- 交代性片麻痺
- 仮性球麻痺
- 球麻痺
片麻痺と交代性片麻痺の2つで、全体の70%とのこと。
それぞれについて、触れたいと思います。
片麻痺
大脳の左右のどちらかで脳卒中にかかると、反対側の手足に麻痺がでます。
これを片麻痺といいます。
麻痺の出方、程度は人それぞれ個人差があります。
片麻痺の方の場合、お口の障害は、咀嚼期障なので、誤嚥の心配はしなくてよいとのことで治療は普通にできます。
リハビリテーションの訓練も間接訓練、直接訓練のどちらもOKです。
直接訓練というのは、ゼリーや、水を使って行う訓練のこと。
間接訓練とは、筋トレ、マッサージなど、食物や飲み物は使わないで行う訓練のことです。
神経支配とついての説明ですが、顔面の上半分は、両側性の支配、下半分は片側性の支配なので、額のシワをつくれたら、嚥下は大丈夫とのこと、咽喉部の神経支配は両側性だそうです。
代性片麻痺
中枢神経の橋の部分に、病変ができると、顔と手足のまひが逆側にでるものです。
交代性片麻痺の場合、お口の障害は、咀嚼期障害、口腔期障害なので、誤嚥の心配はないとこのこと。
よって、歯科治療はOKで、訓練も、間接、直接ともに大丈夫。
仮性球麻痺
これは両側の大脳病変。多発性の脳梗塞ができるとおこります。
両側性に片麻痺ができます。
大公害の特徴とも言える病態で、介護の現場は大変だそうです。
嚥下の障害は、先行期障害、準備期障害、口腔期障害、咽頭期障害、食道期障害とさまざまです。
嚥下はできるはずですが、うまくコントロールできないことが多いそうです。
よって歯科治療は誤嚥させないように注意が必要で、訓練は間接はOK。直接は注意が必要です。
球麻痺
これは、中枢神経の延髄に病変ができたときにおこります。
延髄にはえん中枢があるので、球麻痺のある患者さんは嚥下の咽頭期障害があり、誤嚥のリスクがあります。
従って歯科治療は注意が必要で、訓練は間接のみになります。
次回は摂食機能検査について触れたいと思います。